材料・デバイス研究

環境調和機能性酸化物材料国際研究プロジェクト

研究概要

全てのモノがインターネットにつながるIoT社会の実現に向けて、電子デバイスの消費電力の低減や、環境負荷の小さい材料の開発が求められています。第一原理計算による物質設計(Das)、様々な化学的手法を駆使した合成(東、Poepplelmeier、Ninjbadgar)、放射光・中性子といった量子ビームを用いた精密構造解析(東、松田)と、先端計測(Rödel、Long)によって、低消費電力不揮発性メモリ材料につながる強磁性強誘電体や、風や振動から電気エネルギーを生む圧電発電のための非鉛圧電体、外気温の変化から生じる熱歪みを吸収する負熱膨張材料等の、革新的な環境調和機能性材料の開発を行っています。

  1. 強磁性強誘電体
    HDD等の磁気メモリは温度安定性に優れますが、情報書き込みのためにコイルに電流を流して磁場を発生する必要があるため、消費電力が大きくなってしまうという欠点があります。強磁性と強誘電性が共存するマルチフェロイクス材料を用い、電気分極反転に伴って磁化を反転することが可能ならば、電場書き込み磁気読み出しの超低消費電力磁気メモリを実現できると期待されます。東工大で発見した、コバルト置換ビスマスフェライト薄膜における電場印加磁化反転現象のデバイス化を目指しています。
  2. 非鉛圧電体
    運動と電気信号を変化する圧電体は、超音波診断機やインクジェットプリンターなど、センサーやアクチュエーターとして様々なデバイスで使用されていますが、ペロブスカイト型酸化物PbZr1-xTixO3 (PZT)を始めとする現行材料が、重量にして60%以上もの鉛を含むことが大きな問題となっています。鉛と類似の性質を持つビスマスを用い、PZTの結晶構造に倣った物質開発を行っています。
  3. 負熱膨張材料
    熱膨張による位置決めのずれや異種接合界面の剥離は、パワー半導体などの電子デバイスや、燃料電池などのエネルギー・環境技術において、喫緊の課題と認識されています。東工大で発見されたBiNi0.85Fe0.15O3は、既存材料の5倍もの巨大な負熱膨張を示す事から、熱膨張抑制に応用できると期待されますが、合成に人造ダイヤモンドと同程度の高圧力が必要な事が問題です。ソフト化学の手法を取り入れることで、マイルドな条件下での合成を可能とし、工業化に道を拓きます。
非鉛圧電体BiFe1-xCoxO3 非鉛圧電体BiFe1-xCoxO3
プローブ顕微鏡による電場印加磁化反転の観察 プローブ顕微鏡による電場印加磁化反転の観察