3/10開催 「科学技術創成研究院WRHIセミナー・先導原研コロキウム 合同研究会」報告

3/10開催 「科学技術創成研究院WRHIセミナー・先導原研コロキウム 合同研究会」報告

イベント

科学技術創成研究院WRHIセミナー・先導原研コロキウム 合同研究会 報告

先導原子力研究所では、平成28年度に8名の外国人研究者をWRHIプログラムにて招聘し、共同研究を推進している。さる3/10に、その内5名の研究者の研究成果をまとめて紹介していただくべく、各人30分程度の研究成果発表をいただいた。先導原子力研究所では、WRHIプログラムとは別個に、所内の企画委員会が主導して「先導原子力研コロキウム」なる研究会を毎月3回程度不定期に開催して、研究所員の研究について相互に紹介し理解し合う場を設けている。この度、WRHIプログラムで来日された方々の先導原子力研究所所内への研究紹介もかねるのが効果的と思われたので、科学技術創成研究院WRHIセミナーと、第36回先導原子力研究所コロキウムとの合同開催という形を取らせていただき、延べ30名程度の聴講者を得て標記研究会を開催した。プログラムは以下の通りであった。

15:15Opening address, 先導原子力研究所所長 矢野豊彦 教授
15:20河野俊彦 特任教授, “Random-matrix approach to the statistical compound nuclear reaction at low energies using the Monte-Carlo technique”
15:50Nicolae Carjan特任教授, “Scission-neutron multiplicities for U, Pu, Cm and Cf isotopes”
16:20Reda A. El-Koramy特任教授, “Dielectric barrier discharges (DBD) for advanced technology and environment”
17:00Branko Matovic特任教授, “Nanocrystaline hexagonal boron nitride powders: synthesis, disordering-ordering transformation and thermal stability”
17:30Jelena Maletaskic特任助教, “Sphene based ceramics: synthesis, processing and application”
18:00Closing Remark, 先導原子力研究所企画委員会委員長 千葉 敏 教授

河野氏からは、原子核物理学の低エネルギー中性子核反応の断面積の理論計算の手法の一つとして、モンテカルロ法を用いたランダムマトリクス手法分野での業績につき、解説がなされた。Carjan氏からは、原子力工学上重要となる核種であるU, Pu, Cm, Cfの同位体について、核分裂時に分離される中性子の増倍率に関する原子核物理学分野につき、同氏らの研究進捗の紹介がなされた。Koramy氏からは、誘電体バリア放電(DBD)の先進技術と環境技術への応用例が紹介され、パルス電源技術の紹介がなされた。Matovic氏からは、ナノ結晶窒化ホウ素粉末に関連して、合成法、無秩序-秩序相変化、及び熱的安定性について、材料工学の立場から研究進捗が紹介された。最後に、Maletaskic氏から、スフェン系セラミックスの合成・プロセシング及びその応用につき、同氏の実験研究に関するこれまでの成果が報告された。

上記のように河野氏とCarjan氏は原子核物理学、Koramy氏はプラズマ工学、Matovic氏とMaletaskic氏は材料工学と、様々な異なる分野の研究者が一堂に会して研究紹介を行ったことが先導原子力研究所の特徴をよく表していると考えられる。すなわち、原子力工学という学問は、様々な理工学分野の融合されたまさに学際的学問であり、分野の垣根を超えた研究者相互の理解が不可欠である。今回、このように様々な分野の研究者を招聘して、先導原子力研究所所員と共同研究が行われたことは、その意味で誠に喜ばしいことであり、WRHIのプログラムでなければ成し得なかった偉業であると考えられる。もちろん、所員の研究が進展したことや国際協力が一層発展したことは言うまでもなく、WRHIの関係各位に深く謝意を表する次第である。
(文責 先導原子力研究所 赤塚 洋)