WRHI国際ワークショップ開催報告(平成29年10月6日開催)

本新学術領域研究の第26回ワークショプが、平成29年10月6日(金)に、東京工業大学すずかけ台キャンパス(横浜市緑区)で開催された。本ワークショップは“WRHI International Workshop on Advanced Laser Spectroscopy for Soft Molecular Systems”と題されており、柔らかな分子系のための先端的なレーザー分光を中心とした国際研究集会である。このシンポジウムは本領域と、昨年から東京工業大学が開始したWorld Research Hub Initiatives(WRHI)が中心となったもので昨年に引き続く2回目の開催である。今年は東工大化学生命科学研究所の所属する物質・デバイス領域共同研究拠点及び5つの大学附置研究所をむすぶダイナミックアライアンスも共催となり旅費支援を頂いた。中心となるWRHIは世界トップクラスの研究者の異分野交流を促進し、革新的科学技術の創出等を担う「世界の研究ハブ」を目指す組織として開設されたもので、国際活動支援班を有する本領域とも相通じている。

今回はベルリン工科大学・Otto Dopfer先生とエクス・マルセイユ大学・Christophe Jouvet先生、並びに領域外の諸先生をWRHIが招聘し、総勢43名の賑やかな会となった。

東WRHI運営委員長(左上), Dopfer先生(右上), Jouvet先生(左下), ポスター発表の様子(右下)

ワークショップはWRHI運営委員長である東正樹先生(東工大科学技術創成研究院教授)のOpening Remarksに始まりDopfer、Jouvet両先生の基調講演2件、7件の招待講演、及び14件のポスター発表が行われた。Dopfer、Jouvet両先生ともエレクトロスプレーイオン化法と冷却イオントラップを備えたレーザー分光装置を用いる研究を紹介され、また、招待講演でも石内俊一先生(東工大、A02研究分担者)、石川春樹先生(北里大、A02研究分担者)も同様の手法による研究を発表し、柔らかな分子系の研究に必須の手段になりつつあると感じた。さらに本領域A01班長の北尾彰朗先生が東工大教授に栄転されて本ワークショップに参加し、DNA光損傷の修復メカニズムに対する先端理論研究を発表された。また、大島康裕先生(東工大A02研究分担者)の超高速レーザーによる柔らかな分子クラスターの振動回転コヒーレンス制御と計測は極めて高度な分光研究で強い印象を残した。藤井朱鳥先生(東北大、A02班友)と石川春樹先生は共に分子クラスターの構造に関する温度効果を論じており、柔らかな分子クラスターの構造多様性が系統的に明らかになりつつあると感じた。また、江幡孝之先生(広大)の無輻射過程と光異性化解析、関谷博先生(九大A02班友)のジアリルエテンの構造と蛍光収率の分光研究は柔らかな分子系の構造とダイナミクスを捉えるもので大いに議論が盛り上がった。

最後に、シンポジウムの準備と運営を円滑に進めて下さったWRHI事務局、本領域事務局、東工大藤井研究室のスタッフ、学生の皆さんに深く感謝申し上げる。