片渕竜也准教授が海外派遣から帰国しました。

WRHI海外派遣報告

科学技術創成研究院 先導原子力研究所

准教授 片渕竜也

平成29年11月27日から12月1日にかけて米国ロスアラモス国立研究所に滞在し、理論部門T2グループの河野俊彦氏と中性子捕獲反応に関する共同研究を行った。ロスアラモス国立研究所は米国ニューメキシコ州に位置し、マンハッタン計画を契機に1943年に設立された研究所である。現在は原子力分野に限らず、広範な科学分野において主導的な役割を果たしている。その中において理論部門(T Division)は先端的な理論研究を担当している。T Divisionは、T1からT6までの6つのグループから構成され、T2は原子核・素粒子・宇宙物理の研究を行っている。河野俊彦氏はT2グループにおいて原子核反応理論の専門家である。

今回、東工大片渕研で測定した中性子捕獲反応データについて河野氏と活発な議論をかわすことで理論的な考察を加え共同研究を行った。中性子捕獲反応は、原子力、宇宙元素合成などの分野において重要な役割を担っている。中性子核反応データは原子核工学の基盤であり、高精度化は必要不可欠なものである。核データの高精度化には原子核理論と原子核実験の協調は欠かせない。その点において今回の滞在は、電子メールなどでのやり取りでは得られない膝詰めの活発な議論をすることができ、有意義な結果を得ることができた。結果は学術論文としてまとめ報告する予定である。

滞在中、セミナーにおいて東工大片渕研が行っている中性子核データ研究について発表した。発表には理論グループだけではなく、実験グループも参加し、活発な議論を交わすことができた。

また、核破砕中性子源施設LANSCEを視察し、案内をしてくれた実験グループのAaron Couture氏とも多くの意見交換を交わすことができた。東工大片渕研では、茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設J-PARCの核破砕中性子

源を用いた測定を行なっており、LANSCEの視察は非常に参考になった。J-PARCとLANSCEはともに核破砕中性子源を用いているが、お互いの施設で特徴が異な

るため、今後、補い合う形で共同研究を進めることを検討していきたい。

最後に残念ながらロスアラモス国立研究所内は核セキュリティ上の配慮からあらゆる写真撮影が禁止されているため、本報告に施設内の写真を載せることができなかった。代わりに研究所設立当初、本部となったFuller Lodgeの写真を掲載する。Fuller Lodgeはもともと青少年のための林間学校施設であったが、マンハッタン計画時に政府に買い取られ、プロジェクトの本部となった建物である。現在は、アートセンターとして地域コミュティに利用されている。

 

Fuller Lodgeの前にて。河野俊彦氏(右)と筆者