平成29年度11月海外研究機関派遣支援報告

尾形 昂洋
物質工学院材料系材料コース 博士後期課程2年
派遣先:Technische Universität darmstadt,Material Science Ceramics Group

弊研究室ではキュービックアンビル型高圧装置を用いて1万気圧・1000°C以上での高温高圧条件下で多くの新規ペロブスカイト型酸化物を合成してきました。今回、高温高圧合成物質の機能性評価を目的に、WRHIプロジェクトの海外派遣支援をいただいてダルムシュタット工科大学の非金属無機材料グループに3週間滞在し、Jürgen Rödel教授、Jurij Koruza博士、Satyanarayan Patel博士らご指導の下、電気的・機械的測定とディスカッションを行いました。その結果、電場で分極が反転する強誘電性は確認できなかったものの、一軸応力下でドメインがスイッチングする強弾性挙動の観察に成功しました。この結果に関しては今後さらに追加で実験を重ね、論文化する方針であることが決定しています。この共同研究を通じて、高温高圧物質探索と常圧合成物質の機能性評価という互いの専門分野を越えて未知な研究領域を開拓する相互的互恵関係の土台を構築できました。今後も継続的に共同研究を進めていくことで、高機能性新材料の創製につながる重要な知見も得られると期待しています。

(左)強弾性測定用試料の研磨の様子。正確な測定に必要な円柱形状にした後、(右)材料試験機で応力-歪み測定を行う。

滞在中には、今夏から共同研究を進めている同大学のPedro Braga Groszewicz博士ともディスカッションを行いました。Groszewicz博士には、核磁気共鳴分光法で高温高圧合成物質の電子構造の評価をしていただいています。これまでの結果と今後の研究予定について話し合った結果、構成元素の異なる類似物質でも新たに測定を行い、系統的に電子構造を評価していくことで決定しました。掘り下げた話がたくさんでき、お互いの研究内容について深く理解することができました。まさに、直接お会いして話すことの恩恵だと強く感じています。

実際に測定と解析を派遣者自身が行い、結果について直接ディスカッションできたことは、共同研究の速やかな進展と強固な国際研究コミュニティーの形成につながりました。派遣者自身にとっても、国際色の強い研究室の一員として他のメンバーとの議論やグループミーティングの参加など大変貴重な経験ができ、大いに刺激を受けました。今後の研究生活に存分に生かしていきたいと思います。

最後に、本派遣支援にあたりご協力いただきましたWRHIの皆様方に心から御礼を申し上げます。